ウチの会社でもアプリを作りたい!と考えるのは簡単。
どういった機能を持たせるべきか考え始めると結構難しいもの。
考え出すと「うちのアプリはとにかくすごいアプリにしたいから、ニュースも見れるし、ホテルの予約もできるし、ポイント管理もできるし、旅先で使えるようにしたいから交通情報も調べられる方がいいな」と、夢はどんどん広がっていくかもしれません。
ですが、アプリを作るならまずは一芸特化のアプリを目指すことがお勧めです。
目次
もくじ
架空のアプリ開発企画の例
A社が「運動管理アプリ」を企画することになりました。
①発端は「運動不足気味な従業員の運動促進」を狙ったもの。
従業員の歩数を記録して、歩数が多いほどアプリ内でのポイントが溜まり、ポイントに応じて年度末に報奨金を出すという仕組みのものです。
日ごとの歩数を測り、月・年単位での累計歩数が見られるというシンプルなアプリです。
②次に、どうせ作るなら他企業にも展開できるようにしようと考えました。
それならばと、月額制のサービスにして収益化も視野に入れていきます。
③他企業に販売するなら歩数機能だけでは不十分と考え、自転車やランニングでの移動記録や体重管理、食事のカロリー記録もできるようにすることにしました。
こういうケース、結構あると思います。
そして、これは架空の話ではありますが、こういった企画はうまくアプリ化したとしてもうまくいかないケースが多いと考えてます。
「あったら便利」を盛り込んだアプリは本当に使われるか?
あったら便利だからと安直に機能を盛り込むのは危険な考えです。
社内向けなら歩数計測で良かったはずのアプリ、外部に販売しようとしただけで「歩数機能だけでは不十分」として機能追加した。ここが問題点です。何故問題なのか。
開発コストが高くなってしまう
機能が豊富なほど開発コストは高くなってしまいます。
その分、開発コストの回収が大変になってきますよね。
もちろん、それ以上に売り上げることができてコスト分が回収できる見込みが十分にあるなら良い選択ですけどね。
本当にニーズがあるかわからない
追加したい機能は本当に求められている機能でしょうか?
「自分だったら自転車にも乗る」、「運動だけじゃなくてカロリー管理もしたいのは当たり前」と考えられているかもしれません。
でも、もう少し広い視野で見てみましょう。
「歩数、自転車、ランニング、カロリー管理をするアプリを求めてる企業はどのくらいありますか?」
「そのやりたいことは他社のアプリでは実現できませんか?」
健康意識が高まっているとはいえ、従業員のランニングの管理までするアプリを各社が求めているかはわかりません。
また、運動やカロリーの行えるサービスやアプリは数多く存在しており、A社のアプリでなければいけない理由もないのです。
パッと思いつく機能はすぐマネされる
ニーズがあるからと言って成功するとは限らないのが世の常です。
ある本にこんな一文がありました。
「永遠に通用するモデル」は存在しない
近藤哲郎著 ビジネスモデル2.0図鑑 より
どんなに優れたビジネスモデルであってもいずれは模倣されてしまうものです。
某企業のフリマアプリが大成功した際、それに追随するように似たアプリが大手企業よりリリースされました。
斬新なビジネスモデルでさえそういう状況なのです。
一朝一夕に思いついた機能なんてすぐにマネされるのが目に見えています。
平凡な機能が10個あるより、オンリーワンの機能が1個ある方がよい
開発コストは増える、本当に必要とされてるかわからない、付け焼刃の機能なんてすぐに模倣される、と、安直な多機能アプリはリスクの塊と言ってもいいでしょう。
それよりは1機能に特化し、練りに練った最強のオンリーワンの機能アプリを目指すことを考えてみてはどうでしょうか。
突き詰めた先には他社が簡単に模倣できない自社だけの強みが生まれているはずですよ。