こんにちは。
AI推進委員会のサトウスグルです。
前回までは技術検証という切り口で、実際に試したAI技術の紹介を行ってきました。
今回は、近年巷で話題のDX(デジタルトランスフォーメーション)からみたAIという観点で考えてみたいと思います。
DXについては、会社勤めをしている方ならどこかで耳にしてるのではないでしょうか。
読み方は「ディーエックス」です。
デラックスでもディークロスでもないので気を付けましょう。
この記事では、DXの意味や推進のポイント、AIからみたDXという観点で意見を書き連ねてみます。
目次
もくじ
そもそもDX(デジタルトランスフォーメーション)とは何か?
さて、DXことデジタルトランスフォーメーションとは何のことでしょうか。
IT化・デジタル化・IoTなどと混同されてる方がいるかもしれませんが、それらとは解釈が異なります。
経済産業省の「デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン(DX 推進ガイドライン)Ver. 1.0」では以下のように定義されています。
企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。
つまり、単なるデジタル化ではなくデジタル技術を活用することで「サービスやビジネスモデルの変革」や「業務や組織の変革」といった大きなイノベーションを起こすものがDXと呼ばれます。
単に「紙伝票だったものをエクセルで処理するようにしました」はデジタル化(デジタイゼーション)でありDXではありません。
DXを進めていくうえで必要な要素
DXですが、実際にはどのように進めていけばいいでしょうか。
「うんわかった。じゃあDXだ!AIだ!」と話が一気に飛躍することはほぼなく、ステップを踏んで進めていくことになります。
前述のDX 推進ガイドラインの構成などにも詳細に書かれているのでこの記事では割愛しますが、経営戦略も含めた組織ぐるみでの推進体制の構築と、実現するためのITシステムの構築の両面を固めていくことが必須です。
前者が求められるのは変革のために古い慣習を捨てなければならないこともあり、経営トップの強い意思決定が必要となる場面もでてくるためです。後者は言わずもがなです。
どのように進めていくべきか
実はDXというキーワードが世に台頭するようになった一方、DXという単語ばかりが独り歩きし、「どのようにDX推進してよいのかわからない」という企業も多いことが経産省のDXレポートなどからわかっています。
基本としては前述の推進体制やITシステムの構築がベースになってくるのですが、それ以上にイノベーションを起こしうるDXを推進できるIT人材の存在が重要です。
なぜならDXのためには過去のDX事例に詳しかったり、変革につながるIT技術の知識を持っていることが必須だからです。
社内だけ「よし、うちもDXをやろう」と考えても現実にはこれまでやってきた事の範囲でしか物事を考えられないため、大きな変革を起こすことはかなり困難と言えるでしょう。
イノベーションになりうるIT技術とは何であるか
とはいえ現実問題、外部コンサルなどを引き入れて検討できるような会社もごく一部でしょう。
トップダウンでDX推進を命じられて困っている方もいるのではないでしょうか。
この検討の時にも課題になってくるのは「どういった技術で変革を起こすのか」という点になってくると想像しています。
なかなかゼロからの変革を起こすのは難しいものですが、過去の事例に学ぶ後追い型のDX推進という手段はかなり手をつけやすいのではないでしょうか。
経済産業省が公開している「デジタルトランスフォーメーション銘柄(DX銘柄)2020」などがとても参考になります。
実際にDXを推進している各企業の取り組みが大枠ながらまとめられており、コロナ禍における対応などDXの枠以上の情報が得られるかと思います。
様々な事例が挙げられていますが、AIというキーワードがいたるところで出てくることに気づくのではないでしょうか。
万能の最適解と断言はできませんが、AIとDX推進は切っても切り離せないことがわかります。
AIはどのようにDXと関わってくるか
DX推進となるAIとはどういったものがあるのか、前述のDX銘柄の資料からポイントとなるキーワードをいくつかピックアップしてまとめてみます。
自動化
元来のデジタル化のメリットを純粋に活かした形でのDXです。
RPAなどを活用したルーチンワークの自動化や、長期滞留している不良在庫の自動ピックアップなど、誰でもできる1作業を自動化するものです。
AIと呼ぶにはややチープかもしれませんね。
とはいえ、作業時間を短縮できたり、単純ミスを防ぐ効果が期待できます。
その特性上、1回作業における短縮時間は数分程度ものとなることが多いですが、1年間×全従業員の作業回数という大きな視点で見た時のコストメリットが期待できます。
人のサポート
自動化よりはやや複雑、でもある程度のパターンが決められている作業を受け持つことで人の作業負担を軽減するDXです。
チャットボットによる社内問い合わせの自動化や、自動見積り作成システムによる1次回答の自動化など、RPAなどよりはもう少し大きな枠での作業をAIが担当してくれるというものです。
総務担当者に対する社内からの質問対応に関する負担を軽減したり、営業担当が確度の高くなった案件への対応にだけ集中できるようになるなど、人員リソースをより有効に活用できるメリットが期待できます。
ノウハウのAI化
ディープラーニングなど近年耳にするようになったAI技術を活用するDXです。
これまで熟練した技術者しかできなかった細かい画像の判別や、デザイン作業などのクリエイティブな作業をAIに任せるというものです。
画像内の微細な異常を見つけるような技術と経験、集中力が必要とされた作業をAIが対応できるようにすることで作業の俗人化から脱却ができます。
なお、ディープラーニングでは情報から結論までのプロセスがブラックボックス化してしまう問題もありましたが、それらを解決するための取り組みも進められており、よりDXに取り入れやすいAIというのが今後現れてきそうです。
大きな変革がDXとは限らない
まとめです。
DXはデジタルトランスフォーメーションの略で、データとデジタル技術を活用したビジネス変革・組織変革を起こすというものです。
DXを推進するためのポイントとなる要素として「AI」は切っても切り離せません。
AIといってもトレンドのディープラーニングのようなものだけではなく、ちょっとした自動化もうまく取り入れることで業務変革につなげることが可能です。
何が必要であるか、冷静に見極める知識・判断力がDXの要と言えそうです。
参考
デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン(DX 推進ガイドライン)Ver. 1.0
DX銘柄/攻めのIT経営銘柄